※本稿は「週刊新潮」1972年9月2日号に掲載された特集を元に再構成したものです。また、年齢や肩書、年代表記等は当時のものです。
容疑者の特定に時間はかからないと見られていたが…
「時効 昭和五十年十二月十日」
都下、府中警察署の「三億円事件特別捜査本部」には、こう大きく貼紙がしてある。すでに去る6月10日で、7年間の時効期間のちょうど半分が経過した。
この大事件がいわゆる迷宮入りに近い状態に陥ったのは、初動捜査における不備が大きな原因である、と悔しがるのは、捜査途中から本部に参加した警視庁捜査一課の平塚八兵衛警部。帝銀事件、吉展ちゃん事件など戦後の数々の大事件を手がけた、警視庁のエースである。……