- 日本軍全滅の塹壕で見つかった旧制中学の帽章は誰のものか――「幻の学徒隊」を追う(前編)
セルロイドの破片に刻まれた小学5年生の氏名
帽章の持ち主探しと並行して、同じ壕で遺骨収集を続けていたところ、新たな遺留品を発見した。マーブル模様が施されたセルロイドの破片。千切れ飛び、一部は溶けて変色している。もとは裁縫箱や筆入れだったのか、それとも下敷きか……。原形をとどめていない切れ端が2個、岩の割れ目に落ち込んでいた。それに持ち主の氏名が刻まれていたのだ。
まず一つ目に“初五 オシロキヨ”と。二つ目は“大シ”だが、その先は失われてしまっている。初五は「初等科五年」を表し、オシロキヨと大シの刻みを重ね合わせると、「大城キヨ」と読み解けないか。国民学校初等科(現在の小学校にあたる)五年、大城キヨさんが持ち主だと推理できる。
この発見について大城弘明さんへ問い合わせてみた。
「あい、驚いたねぇ! それは、我が家の隣に住んでいた親戚のキヨさんのものかもしれない。年齢から逆算すると、終戦時は確か六年生ぐらいだったと思う。私が住んでいた集落には、現在も過去も大城キヨという氏名の方は他に思い当たらないので、間違いないだろう」……