※本稿は「週刊新潮」2019年11月21日号に掲載された特集を元に再構成したものです。また、年齢や肩書、年代表記等は当時のものです。
亀の甲羅を使った古代からの占い
とにかく寝る時間がない。体力的にもストレスは相当なもので、大嘗祭が終わった時は、嗚呼、よく生きていたなと思ったものです。私は皇居に近い官舎に住んでいましたが、日付を越えるまで働き、寝るために家に帰り、また朝の8時半に出勤する。そんな激務が続いていましたから。
〈そう語るのは、元宮内庁掌典補(しょうてんほ)の三木()善明氏(71)。京都に代々続く神社の家に生まれ、昭和48(1973)年から28年間、宮中祭祀を司る「掌典職」の一員として昭和と平成、2代の天皇に仕えた。前回の「大喪の礼」と「即位礼・大嘗祭」では、実に62年ぶりに執り行われる儀式ということもあって、庁内に経験者がいない中で大量の記録文書などの資料を読み漁り、準備段階から“一世一代”の儀礼に携わったという。〉
平成の大嘗祭で一番苦心したのは、「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」の準備でしたね。この儀式は、祭祀の中心となる「大嘗宮の儀」で、天皇陛下がお供えして実際に口にされるお米の産地を決めるもの。一連の儀式の核となる、大事な初めの一歩なのです。……