住宅価格押し上げの根本的要因は「産業構造の変化」にある
東京の住宅価格が高騰している。東京23区の平均マンション価格は1億3000万円に達しているほか、家賃も値上がりしている。ファミリー向け物件の平均賃料は都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)で40万円を超えており、100万円を超える物件も今や珍しくない。中低所得者にとって都心は手の届かない場所になりつつある。
価格高騰には、複数の要因が複雑に絡み合っている。まず、世界的な資材価格の上昇や人件費の増加が建設コストを押し上げている。また、円安の進行で日本の不動産価格の割安感が強まっており、ファンドを中心に海外からの資金流入が増えていることも不動産市場を加熱させている。
しかし、より根本的な要因は、東京の産業構造が高度化していることにある。近年、情報通信、金融、不動産、専門サービスといった高付加価値サービス業が一段と集積し、都市としての魅力が増している。コロナ禍を契機としたデジタル化の加速やインフレ経済への移行がこの流れを後押ししており、これらの産業に従事する高所得層が増加している。
高付加価値サービス業は都市に集積しやすいという性質があり、高い所得に惹かれて多くの若年層が東京へ流入している。その結果として、高所得層が都心部に集中しており、住宅需要を構造的に押し上げている。東京圏では、年収1000万円を超える層が160万人にのぼり、共働き高収入世帯や高度外国人材が都心の住宅市場を席捲しつつある。……