生成AIに依存する学生は「認知の負債」を抱え、自分の頭で考えられなくなる──。米MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボが、衝撃の研究(*)を発表した。生成AIを教育現場で利用する際、学生の認知機能にどのような影響を与えるかを調べたこの研究は、生成AIを活用してエッセイを書いた被験者は「8割が何を書いたか思い出せない」「脳が怠けている」ことを科学的に明らかにしたのだ。
日本でも、教育現場で生成AIの活用が本格化している。東京都は全都立学校(256校・児童生徒約14万人)で「都立AI」の運用を始める。プレゼンの資料まとめや作文のアイデア壁打ちといった用途が想定されているようだが、MITの「AIに依存する人間は、AIなしでは考えられなくなる危険性がある」という警告は果たして届いているのだろうか。(文=湯浅大輝)
(*)Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task
URL:https://arxiv.org/pdf/2506.08872
☆2025年7月10日「デイリー新潮」の有料記事として配信されたものです。肩書等全て当時の情報です。
研究者たちが本気で心配する「教育の未来」
研究結果について紹介する前に、この研究に携わった脳科学者や言語処理の専門家ら8人による論文(査読前)の序文(Introduction)などを読んでみよう。彼らが生成AIの教育現場での活用について、どんな危機感を持っているかが分かるからだ。
「生成AIの登場は、私たちの生活・仕事・学びのあり方を根本から揺さぶっている。特に教育現場では、生成AIの『自律的』『対話的』『個人に寄り添う』という機能が、生徒の能力開発に役立つと期待されている。
ところが我々が『生成AIを活用してエッセイを書く際の脳の認知機能の変化』を調べると、憂慮すべき結果が明らかになった。生成AIを使った学生は、『(科学的に)認知機能が萎縮』していた可能性があるのだ」
続けて、……