※本稿は『あのスキャンダルの裏側――「週刊新潮」が報じた事件戦後史』の一部を抜粋/編集したものです。「週刊新潮」1970年12月5日号に掲載された特集が元となっており、プライバシーへの配慮から一部は匿名となっています。また、年齢や肩書は当時のものです。
「諸君は武士だろう。自分を否定する憲法をどうして守るんだ」
われわれは、それを、見た。ひとりの作家の衝撃的な死を。自刃の三島――。
かつて、その独自の倫理と美学に殉じたひとに、太宰治がある。あのとき、三島は、その死を承知することを、頑ななまでに、潔癖に、拒否した。女性的な生の結末として。
それから二十余年。三島は、自ら選んで対極に立った。その“男性の死”を死んだ彼に、事件としての批判はあるにしても、やはり、彼もまたストイックな魂だったには、間違いないのである。……