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「国家情報局」「対外情報庁」のトップは誰の手に 外・防・警「三国志」の行方

2026年5月28日


<span>「国家情報局」「対外情報庁」のトップは誰の手に 外・防・警「三国志」の行方</span>
外・防・警の「三国志」は警察庁が一歩リードか

国の「インテリジェンス強化」をめぐって、外務省・防衛省・警察庁の縄張り争いが激化している。その第一幕の舞台、国家情報局長の座は紆余曲折を経て「ほぼ既定路線」へ。そして舞台は既に第二幕「対外情報庁」へと移りつつある。(敬称略)

国家情報局長の座は

 国の情報力強化を掲げた「国家情報会議」設置法が5月27日に成立し、内閣総理大臣を長とする同会議と、内閣情報調査室(内調)を格上げした「国家情報局」が司令塔として7月にも発足する。その先には「スパイ防止法」制定と「対外情報庁」新設が待つ。

 法律ができれば権限が加わり、組織をつくればポストが増える――。そんな霞が関の縄張り拡張競争、第一幕の勝ち組は警察庁だった。外務省や防衛省は巻き返しの機会を窺う。かくして安全保障と情報の世界で、外・防・警の「三国志」は続く。

「国内治安とテロ対策のあいつらに安全保障が分かるのか」

 国家情報局の創設を前に、防衛省・自衛隊で戦略と情報に長年携わってきた制服組幹部はこう吐き捨てた。

 ここでいう「あいつら」とは警察官僚を指す。内調のトップ「内閣情報官」は前身の時代から警備・公安系の警察官僚が独占してきた。そして「国家情報局長」にランクアップ後も、少なくとも初代は警察が押さえ、現内閣情報官の原和也(平成2年警察庁)が起用されることが、現時点では既定路線とみられている。

 国家情報局の所掌には「安全保障」も含まれる。これが外務省や防衛省にとっての不快の素となっている。

 従来の仕組みの中での内調の役割は、外務省や防衛省、警察庁、公安調査庁など横並びの機関による「インテリジェンス・コミュニティー」の調整役といったところ。実際、外務省の幹部は「大事なネタは内調なんかに渡さない」と証言する。

 そこで、新制度では国家情報局を上に置き、各省庁に「資料又は情報の提供及び説明その他必要な協力」を義務付けた。国家情報局長は内閣情報官より遥かに強い権限を持ち、そこを占めた省庁が実質的に支配できる。

 原昇格の線が濃厚視されるまでには多少の曲折があった。警察庁の最終ポストは警備局長。「局長止まりの男でいいのか」と問題視する声が上がり、警視総監を1月に勇退した迫田裕治(平成3年警察庁)らの名が取り沙汰された。

 3月になると、「特定省庁の指定席とせず、人物・能力本位を徹底すべきだ」として警察独占を牽制する自民党の提言も出た。この項を強く主張したのは国防族の中堅、衆院議員の大塚拓だ。

 原は焦った。首相の高市早苗の関心は「経済安全保障」。加えて自民党内の「政敵」や霞が関の「抵抗勢力」の言動だ。週2回の定例報告に熱がこもった。

 政府関係者によると、与党幹部にもロビー活動を仕掛け、警察官僚、とりわけ自分がいかに適任か説いた。原は警備畑一筋で、海外の日本大使館に2回も出向した。しかも出向先はモスクワとワシントン。防衛省情報本部の電波部長も務めた。通信や電波を傍受・解析する「シギント」(signals intelligence)の元締めである。形式的には防衛省の一部だが、「陸上幕僚監部第2部別室(通称2別)」などの名称だった頃から警察・内調の外郭組織として機能してきた。

「能吏だが面白味を欠く」が大方の原評。ただ、「安倍印」が好きな高市は、安倍内閣の首相秘書官だった原に悪印象はない。

「最初は警察。原で決まったらしい」

 永田町にこんな情報が駆け巡ったのは4月のことだった。原は5月上旬に訪米し、連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官と面談。国家情報局の権限を説明し、連携を約束した。事実上の「就任あいさつ」とみられている。

 警察庁は昨秋の高市内閣発足時、これまた指定席だった内閣危機管理監を、前防衛事務次官の増田和夫(昭和63年旧防衛庁)に奪われた。主導したのは防衛相経験者の官房長官・木原稔。ただ、警察庁は前長官の露木康浩(昭和61年警察庁)が官僚機構の頂点に立つ官房副長官(事務)に就いた。「むしろ警察庁が得した」が霞が関の共通認識だ。

 ここで官邸官僚の序列を整理してみよう。最上位の官房副長官が副大臣級で、内閣危機管理監や国家安全保障局長が次の政務官級。3番手の事務次官級に官房副長官補3人(財務、外務、防衛に固定)、内閣広報官、内閣情報官が並ぶ。警察庁長官や統合幕僚長もここに位置し、外務審議官、防衛審議官、陸海空幕僚長、警視総監、海上保安庁長官はそのわずか下だ。そして、国家情報局長は1ランク上がり、危機管理監や安保局長と同格になる。

「情報はうちの仕事。原さんの次ももらう」。ある警察庁関係者は大塚らの動きをこう牽制した。

争いの舞台は「対外情報庁」へ

 高市と木原が描く段取りは、第1段階で国家情報局など基本的な「器」をつくり、第2段階で積極的に外国の情報を獲りにいく「諜報」と、機密を他国のスパイから守る「防諜」の体制を整えるというものだ。

 自民党と日本維新の会の連立合意書には、対外情報庁と情報要員養成機関を「2027年度末までに創設する」と明記された。「インテリジェンス基本法」「外国代理人登録法」「ロビー活動公開法」の早期制定もうたわれた。通信傍受の広範な解禁が焦点になる。

 “三国志第二幕”の舞台は対外情報庁。現時点で有力視される組織構図は、外務省に形の上で設置されている「国際テロ情報収集ユニット(CTU-J)」を発展させる案だ。

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