11月3日、金永南(キム・ヨンナム)前最高人民会議常任委員会委員長が死去した。享年97歳。『労働新聞』は4日付1面トップで訃告を出し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がその霊柩を訪ねて深い哀悼の意を表明したことを報じた。
1998年9月、国家の最高指導者を主席から国防委員会委員長に変更すると同時に、対外的な国家元首の役割については最高人民会議常任委員会委員長が担うという変則的な国家体制へと移行する憲法改正が行われた。金永南は、その時から2019年4月までの長きに亘って同職にいたばかりか、1983年12月から外交部長(現在の外相)兼政務院副総理の地位にあり、いわば外交の表の顔だった人物である。2018年2月には金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会副部長とともに韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式に出席したことでも知られ、昨年死去した弟・金己男(キム・ギナム)元朝鮮労働党中央委員会宣伝扇動部長とともに、3代指導者それぞれから絶大な信頼を得てきた忠臣とも言える。翌5日には国葬が挙行され、新美里(シンミリ)愛国烈士陵での告別式には金正恩も出席した。
党中央委員会、国務委員会、最高人民会議常任委員会、内閣の4機関の決定による国家葬儀委員会は、金正恩を筆頭として、朴泰成(パク・テソン)内閣総理、崔龍海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員会委員長ら党政治局常務委員が続き、9番目に崔善姫(チェ・ソニ)外相、21番目に金成男(キム・ソンナム)党中央委員会国際部長、33番目に金与正の名が紹介された。
6日、朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省のキム・ウンチョル米国担当次官による「わが国家に最後まで敵対的であろうとする米国の心中を再び確認したことに即してわれわれの立場を明らかにする」と題する談話を配信した。「新しい米政権」が発足してから対北朝鮮独自制裁が5回も発動されたことを批判するものであったが、「トランプ」の名には言及していないばかりか、同記事は『労働新聞』に掲載されなかったことから、特段の意味を持つものではなく、担当者のルーティン業務として談話が出されたものと見て良い。注目点は、米朝関係が膠着状態にあるにもかかわらず「米国担当次官」の存在が明らかになったことにある。『労働新聞』で「キム・ウンチョル」の名が外務省職員として登場したことはない。……