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ショルツ独首相が寄稿した「防衛費GDP比2%」の所信表明

2022年12月9日

 今週もお疲れ様でした。ドイツのオラフ・ショルツ首相がFA誌に寄せた論稿が注目を集めています。ロシア・ウクライナ戦争を受けて防衛費増額へ舵を切ったショルツ首相が、改めて欧州の安全保障に主導的な役割を果たす意思表示を行ったことは、欧州と米国のパートナーシップの行方に新たな要素を加えることになるのかもしれません。フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事4本、皆様もよろしければご一緒に。

The Global Zeitenwende【Olaf Scholz/Foreign Affairs/雑誌版1・2月号】

Seventy Years After Hiroshima and Nagasaki【岸田文雄/Foreign Affairs/2014年8月28日付】

 ドイツのショルツ首相が米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌で「グローバルな時代転換」を発表した。寄稿は同誌の2023年1・2月号(未発売)に向けてのものだが、12月5日付で同誌サイトに公開され、注目を集めている。

 日本ではショルツの中国への言及に関心が集中しているようだ。それはたとえば、次のようなくだりだ。

「国際秩序が二極化する時代がやってくると考える人は多い。米国と中国が対峙する新たな冷戦の幕明けが近づいていると見る向きもある。私はこのような見方には反対する。[中略]冷戦後のグローバリゼーションの中で、中国もまた、それ以前の長い世界史の中でそうであったように、グローバルプレーヤーとなった。中国の台頭は、北京を孤立させたり、協力を抑制させたりする理由にはならない」
「ドイツと欧州は、世界が再び競合するブロックに分かれる運命にあるという宿命的な見方に屈することなく、ルールに基づく国際秩序を守るために貢献することである」
「しかし、中国のパワーの増大は、アジアやその他の地域での覇権を主張することを正当化するものでもない。いかなる国も他の国の裏庭にはなりえない。[中略]最近北京を訪問した際、私は国連憲章に規定されているルールにもとづく国際秩序と、オープンで公正な貿易への確固たる支持を表明した」
「北京で私はまた、南シナ海と台湾海峡における不安の増大について懸念を表明し、人権と個人の自由に対する中国のアプローチに疑問を呈した。基本的な権利と自由を尊重することは、国連加盟国のすべてが誓うことであり、決して個々の国家の『内政問題』ではありえない」

 米国主導の中国の孤立化に完全に同調するわけではないが、中国の暴走に目をつぶるわけでもないというショルツの姿勢は、日本の政策立案者たちには“現実的”だとして評価する声もある。だが、英語圏のメディアを見ていると、興味の軸は中国問題よりロシア問題の方にあるようだ。実際、ショルツ論文では中国・アジアよりロシア・ウクライナ・欧州への言及のほうがずっと多い(「台湾」という言葉は使われていない)。……

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