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欧州の模索する「米国抜きのNATO」とは何か

2026年5月31日


<span>欧州の模索する「米国抜きのNATO」とは何か</span>
トランプ政権は安全保障戦略における欧州への関与縮小を加速している[スウェーデン・ヘルシングボリで開かれたNATO外相会合に出席したルビオ米国務長官=2026年5月23日](C)Julia Demaree Nikhinson/Pool via REUTERS

 ドナルド・トランプ米大統領のNATO(北大西洋条約機構)嫌悪は今に始まったことではありませんが、イラクでの軍事作戦に対して欧州のNATO加盟諸国が後ろ向きの姿勢を示したことで、一層、激しさを増しています。4月には「脱退を絶対に("absolutely")検討する」とインタビューに答え、多くの話題を集めました。

 実際には、脱退は容易なことではありません。米議会は2023年末、国防権限法(NDAA)に、大統領が議会の関与なしに一方的にNATO脱退を決定することを制限する条項を盛り込みました。脱退には上院の3分の2以上の承認、または議会による別個の立法が必要とされ、この制限条項の提案者には当時、フロリダ州選出の共和党上院議員だったマルコ・ルビオ国務長官も含まれます。

 ただし、米国はNATOを脱退しなくても、NATOを機能不全に至らしめることは可能です。NATOの集団防衛を定めた第5条は、一加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなし、各国が必要と認める支援を行う仕組みですが、NATOがコンセンサス方式で運営されている以上、集団防衛に関わる重要な決定には加盟国の合意が必要です。つまり、トランプ大統領が防衛を拒否したり態度を保留したりすれば、集団防衛は形骸化します。

「米国抜きのNATO」をめぐる議論の主要なテーマは、まずこの「米国は有事に臨んで動くのか」にあります。英エコノミスト誌は、一部の欧州諸国軍で米軍抜きでも機能する指揮系統などを想定した「プランB」が構想され始めたと伝えています(詳細、後出)。こうした議論の背景には、トランプ政権のロシアに対する宥和的な姿勢への懸念もあるようです。

 有事対応の問題とともに、もう一つ注目しておきたいのは抑止力をめぐる議論です。ここで論点になっているのが“核頼み”への懸念です。トランプ政権はドイツ駐留米軍の5000人削減を表明するなど、通常兵力の縮小方針を示す一方で、欧州への核抑止の提供は続けるとしています。NATOのマルク・ルッテ事務総長も、「欧州安全保障の究極の保証人(ultimate guarantor)は依然として米国の核の傘だ」と述べています。

 ただ、米軍が通常兵力を縮小した分を欧州が埋め合わせるのは当面、難しいとの見方が支配的。核による最終的な安全網の確保だけでは、抑止力の基盤が蝕まれるとの分析があります。それは欧州諸国のみならず、米国をも核戦争のリスクに晒すものになるだろうと、米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌掲載の論考は警告します(詳細、後出)

 今回はこうした「米国抜きのNATO」をめぐる議論の核になる要素を中心に、イスラエル・ネタニヤフ政権の戦略的行き詰まりや米印関係の現状など、11本の記事をピックアップしました。

 「新潮QUE」編集部が熟読したい海外メディア、みなさんもぜひご一緒に。

Europe's secret Plan B to replace NATO【Economist/5月19日付】

「一部の欧州諸国の軍は、米国の支援なしに戦うだけでなく、NATOの指揮統制インフラの大部分を頼らずに戦うための秘密計画を策定している。『グリーンランド危機は警鐘だった』とスウェーデンの防衛当局者は語る。『われわれはプランBが必要だと悟ったのだ』」

「脅威の切迫性ゆえ、ある当局者の言葉を借りれば、NATOが『機能不全』に陥った場合に、欧州がどのように、そして誰の指揮下で戦うべきかについて、いくつかの国が検討を開始している。『もし米国がNATOを機能不全に陥らせた場合、どのような指揮系統を用いることができるのか?』と、別の防衛当局者は問いかける」

 英「エコノミスト」誌は、5月19日付の「NATOに代わるプランBを秘する欧州」で、このように報じていた。米トランプ政権はドイツ駐留米軍の5000人削減やポーランド向けの追加展開を中止するなど、欧州における米軍のプレゼンス縮小を進めている。イラン戦争をめぐる米国と欧州諸国の間の亀裂は、ドナルド・トランプ大統領がグリーンランド領有の意思を示すという衝撃的事件の余波をさらに増幅させている。トランプ大統領はかねてNATO第5条の相互防衛に疑問を表明してきたが、欧州側には「米国はロシアとの戦争に参戦しないだけでなく、他のNATO加盟国の対応を妨害するかもしれない」との懸念も生じているという。「われわれはプランBが必要だと悟った」――その構想は、エコノミスト誌によれば次のようなものだ。

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