今週もお疲れ様でした。中国でゼロコロナ政策に対する抗議行動が拡大している最中に伝えられた江沢民・元国家主席の訃報は、天安門事件後の経済発展を推し進めた江と、個人独裁の色を強める閉鎖的な習近平国家主席とのコントラストを際立たせました。米英仏独の海外メディアが報じた「江沢民の死」を紹介します。フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事7本、皆様もよろしければご一緒に。
Jiang Zemin, l'homme qui a assis le pouvoir du Parti en Chine【Arnaud De La Grange/Le Figaro/11月30日付】
[China Brief]What Jiang Zemin's Death Means for the CCP【Foreign Policy/James Palmer/11月30日付】
Chinas früherer Staatschef Jiang Zemin gestorben【Friederike Börge、Petra Kolonko/Frankfurter Allgemeine Zeitung/11月30日付】
Jiang Zemin, Influential President of China, 1926-2022【Financial Times/Mure Dickie、Thomas Hale、Edward White他、FT紙記者/11月30日付】
「彼とともに中国の革命家の『第3世代』は消え去り、中国史の1ページがめくられた。11月30日、96歳で亡くなった江沢民の死は、その後継者だった胡錦濤が公の場で見世物のように連れ出された事件から数週間後のことであり、また、習近平の絶対的統治が街頭であげつらわれ、新たな皇帝が前任者たちの痕跡を消そうと努めている最中のできごととなった」
仏「フィガロ」紙の副編集長、アルノー・ドゥ・ラ・グランジュが11月30日付の「江沢民 中国共産党で権力を確立した男」に記したように、元国家主席・江の死去は政治的に微妙なタイミングで発表された。その微妙さは、米「フォーリン・ポリシー(FP)」紙の週刊ニューズレター「チャイナ・ブリーフ」の最新同日付号で同誌コラムニストのジェームズ・パーマーが次のように指摘しているほどだ。
「江が亡くなったのは、公表された時刻より数時間、あるいは数日前だった可能性がある。中国では、鄧小平のように重要な指導者の訃報は、政府が発表内容を確定させ、他の指導者らに通知する間、遅れて発表されることがよくある。江の死亡説は過去20年間、中国の政治において絶えることがなかった」
「江の死は、彼が率いた中国共産党にとっても、かつての江と同じ地位にありながら、より大きな個人的権力を持つ習近平国家主席にとっても政治的脅威となる。そもそも中国では服喪期間が抗議活動の引き金になることがある。また、江の死は中国のゼロコロナ政策と検閲に反対する前例のないデモが相次いだ数日後のことであり、国民の怒りの捌け口となる可能性がある」
「1976年、当時尊敬を集めていた周恩来の死を受けて始まった天安門広場での大規模な集会は、文化大革命と毛沢東四人組に対する抗議行動へと発展した。保守強硬派により1987年に辞任に追い込まれた自由主義派の胡耀邦が89年に死去すると、北京をはじめ多くの都市で抗議デモが起き、6月4日の天安門事件へとつながった」
独フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙のフリードリク・ビョーゲ(北京支局)、ペトラ・コロンコ両記者も11月30日付の「中国の江沢民元国家主席、死去」の冒頭で、江が2000年に米CBSの報道番組「60ミニッツ」に出演した際の動画が再びネット上で話題になっていることを紹介。やや遠回しながら、懸念を示している。
「この映像は現在の中国で、現状についての批評や現状との比較として流布されている。現在の習近平国家主席は外国メディアのインタビューに答えたことがない。[中略。江沢民が]歌ったり声を荒らげたりするさまざまな映像は、何年も前からネット上でミームとして流布され、20年前の中国は違う国だったということを人々に思い起こさせてきた」
江が習とは違うタイプの指導者であった点については、英「フィナンシャル・タイムズ」紙が同日付の「江沢民 大きな影響力を持った中国国家主席 1926-2022年」で強調している(筆者はアジア担当エディターのミューア・ディッキー、上海特派員のトーマス・ヘイル、中国特派員のエドワード・ホワイトら)。……