今週もお疲れ様でした。内閣改造・党役員人事を終えた岸田政権は年末に向けて防衛費増額に関する議論を本格化させる意向ですが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて一足早く防衛費のGDP比2%超への増額を表明したドイツは今、「平和主義からの転換」をめぐって試練を迎えています。FA誌とエコノミスト紙が報じたドイツ関連記事2本など、フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事6本、皆様もよろしければご一緒に。Hope you have a great weekend!
Germany's Ukraine Problem【Wolfgang Ischinger/Foreign Affairs/8月10日付】
「2022年7月下旬、東欧によるウクライナ軍事支援をドイツが手助けする計画が、ほとんど進展していないことが明らかになった。この計画によれば、ポーランド、スロバキア、チェコといった国々がキーウにソ連時代の兵器を提供し、その代わりにドイツが自国の保有する装備をこうした国に移転し、補充することになっていた。しかし、数カ月にわたる協議にもかかわらず、ドイツ製兵器の移転は行われていない」
「ウクライナについての約束の実行がベルリンにとって困難になった例は、今回が初めてではない。春先、ドイツはキーウに重火器を直接提供すると約束したが、7月の時点では、そうした兵器はわずかしか提供されていない。ワシントンやブリュッセルの政策立案者らにとって、約束した後の対応が遅いというこのパターンは、ドイツ政府を論じる際に必ず浮上するテーマになっている」
このように始まるのは、米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌のサイトに8月10日付で登場した「ドイツのウクライナ問題」だ。筆者は元駐米ドイツ大使で現在はミュンヘン安全保障会議(MSC)の議長を務めるヴォルフガング・イッシンガー。彼は、「初期段階においては際立って力強かった」と評価するオラフ・ショルツ政権のウクライナ戦争への対応のその後について苛立ちを隠さない。
「こんなことでいいのだろうか。ウクライナをしっかりと支援し、ウクライナにとってできるかぎり有利な条件で早期に戦争を終結させることは、他の国々以上にドイツにとって利益となる。さらに[中略]ドイツは、ウクライナのみならずEU[欧州連合]の広範な安全保障上の課題に対して重要なリーダーシップを発揮できる立場にある」
「しかし、こうしたチャンスを掴むためには、ドイツ政府は、軍事力の行使を嫌う国民性や、変化に対する根強い抵抗を克服する必要がある。これができなければ、長期的には欧州におけるドイツの地位を揺るがすだけでなく、かつてないほどグローバルな課題に直面している西側同盟を弱体化させることにもなりかねない」
彼によれば、ショルツ首相の手足を縛っているのは、以下のような事情だ。
●政権が社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党の3党連立であり、政策の変更に手間がかかることに加え、足場であるSPDの中でも左派には平和主義からの転換への反発が根強い……