「民主主義のためのサミット」での中東諸国の不在
バイデン米大統領が呼びかけた「民主主義のためのサミット(The Summit for Democracy)」が12月9日と10日、オンラインで行われた。台湾も含む111の国が参加したとされる。「権威主義に対する防衛」「汚職への対応と闘い」「人権の促進」という三つのテーマについて各国首脳が報告し、議論したこのサミットに、中東からの参加国はイスラエルとイラクのみだった。
中東は一般に民主主義不毛の地、各種の権威主義体制が隆盛を極める地域として知られるが、それなりの誇るべき民主主義の歴史を持つ国はいくつかある。
筆頭がトルコであり、たとえばエルドアン大統領率いるAKP(公正発展党)の2002年以来の統治は、長期政権の弊害もあり、大統領の個人独裁、専制化、非自由主義化、汚職の広がりなどが指摘されるが、そうはいってもエルドアンもAKPも、国際水準からはかなり自由で公正な選挙で繰り返し勝利して政権を維持してきた。トルコが招かれなかった理由は何だろうか。
凋落著しいレバノンも、かつてはアラブ諸国でほぼ唯一の民主主義体制の国として知られ、宗派主義による社会の分断を維持したまま民主的妥協に繋げる多極共存型民主主義の一例として称揚されていた時期すらある。イラクの現在の体制も、レバノンで積み重ねられた宗派主義・多民族国家の民主主義の制度を取り入れた面がある。……