10月31日に起きたエジプト・シナイ半島へのロシアのMetrojet 9268便の墜落事件は、機内に仕掛けられた爆弾によって引き起こされたとする説が有力になっている。フライト・レコーダーの解析から、飛行中に前触れなく爆発が起きていることが示され、米・英の諜報当局からは、犯行声明を出した「イスラーム国シナイ州」の構成員の間の通信傍受から裏付けが取れているとする情報が流されている。
11月5日に英キャメロン首相がちょうど訪英中のエジプト・スィースィー大統領との会談後に爆弾説が強まっていると認め、11月8日にはエジプトの調査メンバーや米諜報当局は爆弾説を「90%確実」あるいは「99.9%確実」とまで判断しているとの報道が流れた。ロシア側は公の発言としては爆弾説を承認していないものの、シャルム・エル・シェイクへの航空便を全て運休させるなど、実態としては認めている。
英国はシャルム・エル・シェイクからの旅行客の退避を進め、トムソン航空のシャルム・エル・シェイク便が8月23日にミサイル攻撃を辛うじて回避した事件があったことを明かすなど、シナイ半島での「イスラーム国」に加わった集団(昨年までは「アンサール・バイト・アル=マクディス(聖地エルサレムの護持者たち)」を自称していた)の脅威への認識を明確にした。
エジプト政府は爆破説を認める行動を示しているが原因の特定には慎重である。2013年のクーデタ以来欧米から距離を置き、ロシアに接近する現政権の対ロ配慮の表れかもしれない。もちろんエジプト自身が、テロに脆弱どころか社会の中に「イスラーム国」支持層が根深くいることを印象づけることを恐れて、政府レベルでのテロ原因説の承認を渋っていると見られる。……