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トルコ・ロシア間の緊張

2015年11月24日

トルコによるシリア国境地帯でのロシア軍機撃墜に対して、プーチン大統領は領空侵犯の責任を認めず、「背中から刺された」「『イスラーム国』のテロの共犯」「深刻な結果をもたらす」と激しいレトリックで迎え撃った模様である。もっともこのような時に弱気の発言をできるはずもないので、実際にトルコとの関係が軍事的に緊迫化するかどうかは不明。

シリア問題をめぐって対立するロシアとトルコだが、16日にトルコのアンタルヤで行われたG20サミットでは握手を交わしており、13日のパリ同時多発事件によって醸成された米・露歩み寄りの機運にトルコも同調するものと見られていた。しかしトルクメン人問題が悪化して、トルコの民族意識に基づく国益から独自の対応を取らざるを得なくなった。ロシアとアサド政権がトルクメン人問題ではそこまでトルコを追い詰めたとも言える。

ロシアのパイロット2名が、パラシュートで脱出した写真が出回っているが、地上でシリアのトルクメン人の反政府民兵がこのパイロット2名を拘束し殺害したと発表している。これが事実なら、ロシア・トルコがそれぞれの国内世論を背に強硬姿勢を取ることを余儀なくされ紛糾する可能性がある。

露土戦争によってロシアに領土を侵食され続けたトルコの民族意識は反露意識を一つの構成要素としており(そこから日露戦争での日本の勝利を民族的な歴史の記憶の中に深く刻み込んでおり、「親日的」と呼ばれる背景になっている)、プーチン発言はトルコの世論を硬化させかねない。……

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