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トルコのクルド人武装勢力の分派が犯行声明、エルドアン政権の説明と矛盾も

2016年2月20日

2月17日のアンカラでの自動車爆弾テロに関して、トルコのクルド系反政府武装勢力「クルディスターンの自由の隼(TAK)」がホームページ上で犯行声明を出した模様だ。TAKはトルコのクルド系反政府武装勢力の最有力であるPKKの分派とされ、最近の別のテロでも犯行声明を出していた。

この声明では自爆テロの実行犯をアブドゥルバーキー・ソンメズ(Abdulbaki Sonmez)と主張している。これはクルド系を含むトルコ的・トルコ語的な名前である(トルコはそもそも長くクルド語の使用を禁じ、クルド人の存在を否定していたので、「クルド風」の名前をつけることは不可能だった)。トルコ南東部のヴァン出身の26歳のトルコ国籍の人物であると主張している

これに対して、トルコ政府はシリアのクルド人民兵組織YPG(およびそれと一体の組織とトルコがみなすPYD)に関係しトルコに難民として越境してきていたサーレハ・ナッジャール(Salih Neccar)を実行犯と発表しており、両者は食い違っている。これは見たところアラビア語風の名前である。トルコのダウトール首相によればこの実行犯はシリア北東部のハサケ県アームーダの出身(1992年生まれ)で2014年7月にトルコに越境してきたという

トルコ政府は事件の後、即座に実行犯を特定し、関連するとされる17人の人物を次々に逮捕し、早々と捜査の終結すら示唆している。それらがいずれもシリアのYPGとトルコのPKKに属する人物であると主張し、YPGに所属する人間がテロの実行犯であり、PKKが従犯であると主張することで、シリアのクルド人勢力YPGがトルコ政府の主張するようにテロリストであることが明らかになったとし、それを根拠に欧米諸国にYPGへの支援をやめるように主張していたが、TAKの主張が正しければトルコ政府の主張に疑問符が付されることになる。……

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