「トランプ一家」のファミリー・ビジネスとして中東和平案を提案するならどのようなものになるのか。ここで全くの想像により、いかにも「トランプらしい」、不動産業を営んできた一家ならではこそ考えつきそうな「秘策」を考えてみよう。
これまでのイスラエル・パレスチナの和平は、近代の国民国家としてのパレスチナを作りイスラエルと併存させるという「二国家解決」の考え方に基づいてきた。しかし現実のイスラエルとパレスチナを見ると、これは現実的ではなくなっている。1967年以来イスラエルの占領下にあり、パレスチナ自治政府が限られた権限を行使しているヨルダン川西岸地区は、一面的に領域を切り取ることはもはや不可能だろう。ユダヤ人入植地が各地の丘の上に強固に建築され、入植地と入植地をつなぎイスラエル本土と結ぶ高速道路網が張り巡らされている。元来が水を求めて低い土地に、アラブ系住民やパレスチナ難民が定住し、ベドウィンが遊牧してきた。それらの土地をけもの道のような道路がつなぐ。ヨルダン川西岸はパレスチナ人の街や村落とユダヤ人入植地が「立体交差」のようになっている。これを切り離すのは、よほどの犠牲を伴わなければできない。ハマースが支配しイスラエルとエジプトによって封鎖されたガザのみが、皮肉な事に、小さいものの一体性と固有性のあるパレスチナ人の土地になっている。
この状況を見て、不動産業を生業とするトランプ一家であれば、何を考えるだろうか。おそらく、2つの民族を、一体性と連続性のある2つの領域に地理的に分離するという、近代の政治家が考えたことではなく、「権利を分割する」という方法を採用するのではないか。すなわちヨルダン川西岸地区の例えば「7割」をパレスチナ国家のものとする。虫食い状にできたユダヤ人入植地はイスラエルに帰属するものとする。要するに全くの現状追認なのだが、権利関係を明らかにすればそれで解決としてしまう。元来がパレスチナ国家になるはずのものであった土地でユダヤ人入植地となっている部分のかなりの部分は、あたかも長期間の占有によって権利が生まれたかのように解釈されるかもしれないし、その一部については金銭的補償によって「譲渡した」形にするのかもしれない。パレスチナへの「補償」には国際社会(日本など)からの資金拠出を求めるのかもしれない。
これはいわばパレスチナの土地の権利持分を「7:3」に分割し、イスラエルに権利が正式に移る「3」の部分を金銭補償する、というような解決策である。……