なんとなく気になる記事である。イスラエル・パレスチナの和平で最も難関の課題はエルサレム問題、特に宗教的な象徴的な意味を多く持つ東エルサレムの帰属である。ここでイスラエルは実効支配の現実を譲る気配はなく、PLOはそれに対抗する術がない。1948年から1967年まで東エルサレムを支配し、旧市街の神殿の丘の聖域(ハラム・シャリーフ)に宗教的な管轄権を名目的に維持しているヨルダンが、イスラエルとの数少ない国交を持つアラブの国として発言権を有するものの、これも実効性に乏しい。「メッカ・メディナの守護者」を標榜するサウジも、対イランでイスラエルと協調し、トランプ政権との関係を深める中、エルサレム問題での発言の矛先は鈍っている。
そんな中、トルコが東エルサレムの現地に働きかけを強め、浸透しつつある、とヨルダンやサウジやパレスチナ人勢力が危機感を強め、イスラエル当局に警告しているという。
トルコ語を用いるトルコが、アラビア語を話すアラブ世界の一部である東エルサレムに影響力を及ぼすというのは、これまでの常識からいえば、異例である。とはいえ、「これまでの常識」を再検討しなければならない時期なのかもしれない。「これまで」とは通常、中東に近代的な主権・国民国家が導入されてからの時代である。第1次世界大戦以前は、パレスチナはオスマン帝国の支配下にあった。……