ここのところ「中東通信」のアップをしばし控えて熟考していた。というのは、あまりに「フェイクニュース」まがいの情報発信が多すぎるのである。いかがわしいサイトではなく、中東諸国の主要大国や有力勢力がスポンサーになった著名メディアのニュースが、いずれも、虚偽ではないが、露骨に情報操作を狙った発信や、あからさまな政治的ポジションを取ったものばかりになっている。「戦略的コミュニケーション」と言えば一見聞こえがいいが、SNS上で釣り情報を流して一瞬ごとに印象操作を競っていると言っても良い。情報戦が行き着くところまで行き、「サウジ系のアル=アラビーヤがああ言えば、カタール系のアル=ジャジーラがこう言う」といったパターンが見え透いてしまっている。おまけに米国トランプ大統領が自身のツイッターを使って盛大にこの印象操作の合戦に参戦し、個人の立場と米国大統領の立場を頻繁に切り替えて情報発信を行って撹乱するので、国際的な情報秩序は大いに乱れている。シリアとイランがロシアと組んで行う虚偽情報の波は絶え間無く続き、イスラエルが米国とロシアを天秤にかけて行う、ピンポイントの軍事力行使と首脳外交を情報戦と組み合わせて最大限の効果を狙う作戦は、ここのところあたり続けている。
ほとんど「スパム」と言っていいほどの意図的な印象操作を狙ったニュースを、そのままここで紹介していると、この欄自体がスパムの中継地点になりかねない。
「本当に確実に起こっている事実」が含まれたニュースを選定しようとすると、これがそう簡単に見つからない。しかしインターネットとSNSの発達で分・秒単位で情報が流れるようになったが、それはある種の「インフレ」であって、本当に意味のある動きはそれほどしょっちゅう生じない、という当たり前のことなのかもしれない。
今月のニュースで、これは確かに将来の変化につながりそうな確たる「事実」を含むのは、エチオピアとエリトリアの間で急速に進んだ和解だろう。4月に就任したエチオピアのアビィ・アフメド首相の政策転換をきっかけに、1998年の国境紛争以来途絶えていたエチオピア・エリトリアの国交が回復した。7月8日にアビィ首相がエリトリアの首都アスマラを訪問、翌日に平和友好共同宣言に調印して国交を回復し、14日にはエリトリアのイサイアス・アフウェルキ大統領がエチオピアの首都アジスアベバを訪問し、一挙に平和のムードが高まっている。……