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サウジ「暴君リスク」が顕在化

2018年10月15日

10月2日にイスタンブールのサウジアラビア総領事館に入って以来消息を絶っているジャマール・ハーショクジー(日本語では「カショギ」と発音されることも多い)氏をめぐって、10月14日午後、サウジ国営通信は「公式の情報源」による激越な声明を発表した。声明の内容は、サウジ政府要員がハーショクジー氏を殺害したとする、トルコや米国をはじめとする各国政府やメディアの疑念を全面否定するものである。声明は、サウジへのいかなる行動(文脈から「制裁」を意味すると見られる)に対しても、より大きな制裁で返すとした上で「サウジ経済はグローバル経済に重大で死活的な影響を及ぼす」と威嚇・警告している。

声明は威嚇・警告の相手国を明示していないが、10月13日に要約が発表され14日夜(米国東部時間夜7時30分)に全編が放送される予定の米『CBS』「60ミニッツ」でドナルド・トランプ大統領が、もしハーショクジー氏殺害がサウジ政府によるものであればと断った上で「厳しい罰を与える」と発言したことに反応したと理解されている。

この声明は、発言の主体は曖昧にされているものの、ことの重大さ、語気の荒さの異例さなどから、ムハンマド皇太子の意を汲んでいなければ出せないものと理解せざるを得ない。

ハーショクジー氏がサウジ総領事館内で殺害されたという点については、事態を裏づけるかのようなあからさまな情報が様々に出てきている。しかし10月3日にムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が『ブルームバーグ』のインタビューで即座に全否定してしまった。サルマーン国王からの継承に先立つ全権掌握を図るムハンマド皇太子に対するサウジ国内の「忖度」からは、隠蔽や弥縫策も効果的に打つことができない。トルコがサウジと「共同捜査」を申し出て歩み寄っていたにもかかわらず、これも有効に利用できていないようだ。……

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