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2021年の中東を回顧する(1)親米・反米陣営の横断と歩み寄り

2021年12月11日

サウジのムハンマド皇太子がGCC諸国を歴訪

 サウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が、12月6日から10日にかけて、湾岸協力会議(GCC)諸国の5カ国を歴訪した。オマーン(6日)アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ(7日)同ドバイ(8日)カタール(9日)バーレーン(10日)クウェート(10日)と、5日間で5つの国(6つの首長国)を駆け足で回ったムハンマド皇太子の外交ツアーは、湾岸地域の結束を固め、地域内の敵対国との不和も乗り越えようとした、2021年の外交の締めくくりにふさわしい。

 米トランプ前大統領が、イランに対して「最大限の圧力」政策を掲げ、湾岸産油国の親米諸国に追随を迫った(ただしイランによる反発と見られる2019年9月のサウジ・アラムコの石油施設の攻撃に対しても、トランプ政権は目立った懲罰行動を行わなかったが)2017年ー2020年から、バイデン政権が対イラン宥和策に傾いた2021年にかけて、湾岸産油国の姿勢も大きく転換した。

GCCのカタールとの和解

 年初の1月5日、サウジアラビアのアル=ウラーで開かれたGCC首脳会議を、サウジのムハンマド皇太子が主催し、カタールを招待し、アル=ウラー宣言を発出して、和解に転じた。サウジアラビアは2017年6月に対カタール国交断絶を行い、他のGCC諸国やアラブ諸国に追随を呼びかけていた。サウジアラビアの領土から突き出た半島の地勢を有するカタールに対して、禁輸措置や上空飛行禁止措置を取り、ほとんど交戦状態とすら見えかねない強硬的政策を行っていた。サウジが主導して、カタールに外交姿勢の全面的転換と屈服を要求する「13箇条の要求」を突きつけ、それらの完全遵守がなければ国交回復はない、と宣言していた。

 カタールがそれらの要求を何一つ受け入れることがないにもかかわらず、サウジはカタールとの和解に踏み切り、一年を通して、関係改善の機会を多く持った。9月17日には、ムハンマド皇太子は、カタールのタミーム首長を紅海のリゾートに誘い、UAEの最高実力者でムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子の弟のタフヌーン・ビン・ザーイド補佐官と共に、私服でくつろぐ写真を公表した。これは政策転換がかなり本気であることを示した。……

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