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2021年の中東を回顧する(4)人権侵害をもたらす監視技術の輸出規制でイスラエル企業が対象に

2021年12月14日

民主化を阻害するデジタル技術の輸出管理

 バイデン米政権は12月9・10日に「民主主義サミット」を主催したが、サミット開会に合わせて9日に「民主主義再生のための大統領イニシアチブ(Presidential Initiative for Democratic Renewal)」を発表した。

  このイニシアチブでは米国が各国に向けて民主化を働きかけ支援していく際の5つの重点項目を立てて、それぞれについての米国の各国と協調して提案する施策を並べているが、そのうち4番目の「民主化のための技術の推進(Advancing Technology for Democracy)」が興味深い。ここでバイデン政権は民主化のために開かれた安全なサイバー空間を確保する、民主化の役に立つデジタル技術を広めるといった点と並んで、権威主義体制によるデジタル技術の利用に対抗する政策を掲げている。ここに、権威主義体制がデジタル先端技術を輸入して民主化勢力の弾圧に用いることを防ぐための新枠組み「輸出管理・人権イニシアチブ(Export Controls and Human Rights Initiative)」が盛り込まれている。この新枠組みは「民主主義サミット」の場で、米国がオーストラリア、デンマーク、ノルウェーと共に設立を宣言し、カナダ、フランス、オランダ、英国の支持を得たものである。

「輸出管理・人権イニシアチブ」は、先端技術が「政治的反対勢力の検閲や反体制活動家らの追跡のために国境を越えた弾圧に使われている」ことを問題視し、人権侵害に使われうるソフトウエアやその他の技術の拡散を阻止する輸出管理を行うための「任意で非拘束の文書化された行動規範」の確立を進めることを宣言している。

 バイデン政権の外交政策の理念的な柱である民主化支援政策は、経済政策と安全保障政策の新しい最重要課題であるサイバー政策・サイバーセキュリティ政策と不可分である。9月の日米豪印「クアッド」の初の対面での首脳会談でも、先端技術分野での利用原則をまとめている。……

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