8月31日である。終わっていない「夏休みの宿題」の一つが、7月末に英Economistの付録雑誌1843 Magazineに、この「夏の読み物 (summer reading)」の一つとして掲載されていた、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に関する長文の記事である。Economistのオンライン版に備えられた読み上げ機能を用いると47分49秒もある。Economistの7月30日の二週合併号の中に組み込まれていて、全体が「夏の読み物」としてよくできているので、全体を読み直してみた(不覚にも見落としていたが、谷口智彦さんによる、インド太平洋戦略の提案者としての安倍晋三論も載っていて、中東向けの議論を組み立てる際の参考になった)。
ムハンマド皇太子に関する著作や記事は英語圏で汗牛充棟の如く多くある。全部に隅々まで目を通していると他のことができなくなるのだが、読んでみるとやはり面白い。若い時の、土着の部族の家系出身の後妻の母から生まれた「パシリ」のように扱われていた傍流の王子から、予想外に長生きした父の下で引き上げられ、サウジの変革への希望を一身に背負った皇太子へと上り詰め、実質上の最高権力者となっている現在まで、話題とドラマが尽きない素材である。
夏も終わりに近づいて、「夏の読書」を読みきれていないという、私のような怠惰な読者に向けてだろうか、YouTubeで動画も出してくれている。ムハンマド皇太子の台頭に際して放逐されたそれ以前の皇太子の側近などが亡命先から出演していたりして、「裏面」をより強調した形である。……