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世界の中でその地位を転じ続ける中東の姿を見続ける

2023年7月22日

 またも「中東通信」欄の更新が滞ってしまった。しかも今度は長期に留守をした。待っていただいていた読者の方々には深くお詫びしたい。それでもなお待ってくださるという編集部の皆様には感謝の言葉もない。

 勤め先の東大先端研に設立した、「大学発・外交安全保障シンクタンク」と銘打った創発戦略研究オープンラボ(ROLES)の活動が軌道に乗り過ぎるほどに乗り、ROLESの発起主体・運営基盤となっている東大先端研・グローバルセキュリティ・宗教分野(池内研究室)も、更なる拡大と分岐・分節化に向かっている(現在の状態は、先端研の「Research Book 2023」PDF版43頁を参照していただきたい)。そしてシンクタンク経営といっても当分は「選手兼監督」で、各地の大学やシンクタンクに出向いて国際会議やセミナーを企画し、要人の招聘や日本から現地への有識者派遣などを自ら交渉してまとめて実施しないといけない。国際関係の 昨年度を通じて長期滞在したイスラエルには新年度も引き続き関与し、4~7月ですでに2回渡航している。トルコやUAEといった重点的に対象にする国への渡航も併せて行うと共に、ひっきりなしに訪れるようになった海外のシンクタンク幹部等の賓客を東大先端研で公開・非公開の場で出迎え、議論を続ける日々である。

 しかしどれだけ忙しいといえども、『フォーサイト』の読者から言えば、季節ごとの更新すらなされず、上半期下半期ぐらいしか更新されないのであれば、何のための連載かということにもなるだろう。この欄については、間が空いている期間にも、いつも考えている。『フォーサイト』に要求するスタンダードを私自身が下げることができず、本来のこの欄の趣旨だった「購読者向けTwitter」とも言うべき「日々の呟き」を気軽に載せることができないでいる。

 私にとって『フォーサイト』誌は、書き手として特別な意味を持つ媒体である。研究者が自分の研究対象について現状分析を行なう、一般読者に広く伝わる媒体はそれほど多くない。以前はかなり少なかった。インターネットで発信が自由にできるようになる前は特にそうだった。一般的・抽象的な理論化や、一次資料に基づいた歴史学の実証、科学的な因果関係の特定など、国内・国際的な社会や政治を相手にする研究者が行う基礎作業はもちろん重要だが、それらは常に適切な現状分析に結びつくとは限らず、社会的・政治的に必要とされている課題に直接取り組むことにもならない。基礎的な研究成果を、実際的な課題に応用してみる場が必要である。そのような場を形成していくことは容易ではなく、書き手と読み手のそれぞれを育てていく、長年にわたる作業が必要である。……

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