5月8日に岩瀬昇さんが、中国の石油備蓄タンクにイランが所有する石油を「寄託」する形で米国の制裁を逃れて取引を行うのではないかという観測を書いておられた(岩瀬昇『米「原油禁輸制裁」対抗でイラン・中国「秘密取引」の可能性』2019年5月8日)。この記事はなかなか考えさせられる項目が多く、熟読していたところ、つい先ほどの『ロイター』の報道によると、まさにこれに近い取引の形跡が観測されたとのことである。
中国浙江省の舟山市に近い石油備蓄タンクに、13万トンの重油を抱えて4カ月間海上をさまよっていたタンカーが、5月12日までに荷揚げを終えたという。備蓄タンクを設置した石油ターミナルの運営会社Zhoushan Jinrun Petroleum Transfer Coはイラン産重油の受け取りを否定している。このターミナルの事業形態からは、イランが重油の所有権を名目的に維持し通関を行って正式に輸出する前の段階で、備蓄タンクに重油を寄託することができそうである。
米イランの対立の中で、中国の動きが顕在化すると、もう1つの国際政治の主要課題の米中対立ともリンクして、複雑性が増す。……