2021年の中東を回顧するならば、すでに論じ尽くされたように感じられたとしても、やはり8月30日に米軍のアフガニスタンからの撤退が完了し、それによって象徴的に「対テロ戦争」の20年が終焉を迎えた点を挙げておかなければならない。
アフガニスタンは中東か?
そもそも「アフガニスタンは中東なのか?」という疑問もあるだろう。まさに2001年の9・11事件が、アラブ諸国とアフガニスタンの、イスラーム教・イスラーム主義を通じた関係の深さを印象づけ、「中東の一部」としての認識を広めた。米国がアフガニスタンを中心に、中東・北アフリカを覆う「拡大中東」において「対テロ戦争」を、その外交・安全保障政策の最大の課題として取り組んできたことこそが、アフガニスタンを中東の一部としてきた。
「対テロ戦争」の終了と共に、アフガニスタンは中東の一部とはみなされなくなるかもしれない。パキスタンと一体の、南アジアの一部として認識される場面や、ウズベキスタンやタジキスタンなどを通じた中央アジアの一部として認識される場面、そしてやがては、新疆ウイグル自治区と連続した中国の周辺部との関係において認識される場面が、増えてくるかもしれない。
イラクからの密やかな再撤退
12月9日、イラク駐留米軍は、戦闘任務の完了を宣言した。7月26日にワシントンでイラクのカーズィミー首相とバイデン米大統領が会談して表明していた年末までの任務完了を前倒しに実行した形だ。現在約2500人いる米イラク駐留部隊は、完全撤退はせず、イラク軍への助言や支援に任務を限定して残留するようだ。 ……